焼き方ひとつで、 コーヒーはまるで別の一杯に。
華やかな浅煎りも、力強い深煎りも。同じ銘柄でも、ローストが変われば香りも味もガラリ。8段階+生豆から、あなたの「これだ」が見つかるページです。
- 8段階+生豆
- ご注文後に焙煎
- 好みで自由に選べる








※豆の色は参考イメージです。銘柄(産地・品種)によって異なります。
焙煎ひとつで、こんなに変わる
同じ豆でも、熱を通す深さで香りも口当たりも別物に。まずは、4つの変化だけ押さえてみてください。
- 色と重量
- 焙煎が進むほど豆は茶色から黒褐色へ。焙煎中は水分のほか、ガスや軽い成分も抜けるため、生豆よりローストが深いほど軽くなります(生豆100gの目安:ライト約87g、イタリアン約76g)。珈琲問屋では生豆のグラム数でご注文いただけます。
- 香り
- 草っぽい生豆の香りが、ナッツやチョコを思わせる焙煎香へ。深くなるほど、煙香や焦香が加わり、一杯の表情が変わります。
- 味のバランス
- 浅いほど酸味と産地の個性がキレよく。中程度は酸味と苦味のバランスが取りやすく、深いほど苦味・コク・ボディが土台に——焙煎由来の香りが強まり、産地差は相対的に後ろに回りやすくなります。ただし深煎りでも、銘柄や産地による味の違いは残ります。
- 表面の状態
- 中深煎り以降、豆表面に油分(オイル)が現れやすくなります。イタリアンに近いほど光沢が強まり、エスプレッソやアイスにも映える印象に。
このページの味わいや色の表現は、焙煎の世界で一般的にいわれている傾向をもとにした目安です。焙煎機や火加減、銘柄によって表情は変わり、珈琲問屋で焙煎した同じ名前のローストとぴったり同じになるとは限りません。「自分の“好き”はどのあたりか」を探すための地図として、肩の力を抜いてお楽しみください。
浅いほど明るく、深いほど力強く
生豆からイタリアンまで、9段階を浅い順に並べました。色バーと写真は、それぞれのイメージの目安です。
生豆
ライト
シナモン
ミディアム
ハイ
シティ
フルシティ
フレンチ
イタリアン浅いほど酸味と香り、深いほどコクと苦み——大まかな傾向です。表面の油分(テカリ)が出てくるのは、おおむねフルシティ以深の目安。
※豆の色・写真は参考イメージです。銘柄(産地・品種)によって、同じローストでも見え方は少しずつ異なります。
ロースト別 — どんな一杯になる?
浅い順にまとめました。生豆は焙煎前の参考、それ以外は味わいの傾向などから参考にしてみてください。
1. 生豆
生豆(グリーン)
- 見た目・香り
- 淡い緑〜灰緑色。乾いた生豆特有の草っぽい香りはあるが、コーヒーとしての味わいはまだない。生豆はそのままでは飲めない。焙煎してから抽出・飲用する。
- こんな使い方
- ご自宅の焙煎機・直火焙煎で、好みのローストに仕上げたい方向け。業務用にも。自分で焙煎するページもあわせてご覧ください。
- こんな方に
- 焙煎器具と換気の準備ができているか確認。初めての方は200g程度から試すと失敗が少なくなります。
2. 浅い焙煎度合
ライトロースト
- 味わい
- 浅い焙煎。明るい肉桂色。表面はマットで油分はほぼ出ません。産地固有のフルーティーさ・花のような香り・キレのある酸味が際立ち、苦味やコクはほとんど感じられません。
- こんな一杯
- ハンドドリップ、サイフォン。シングルオリジンを個性として楽しみたいとき。水出し・急冷でも輪郭がはっきり出やすい。
- こんな方に
- 「すっきり・華やか・産地の違いを味わいたい」なら第一候補。苦味やコクより酸味が苦手な方は、抽出をやや浅めに調整すると飲みやすくなります。
3. 浅めの焙煎度合
シナモンロースト
- 味わい
- ライトよりやや深い、シナモン(肉桂)のような色。ライトとミディアムの間の定番帯で、酸味と苦味が残りつつ、コクは少なめ。すっきりとした後味が特徴です。
- こんな一杯
- ドリップ、サイフォン。ライトほど尖らず、ミディアムほど重くない「軽やかな定番」として人気があります。
- こんな方に
- 浅い焙煎度合は好きだが、ライトは少し酸っぱい——そんな方に。ライトとミディアムの間を探しているときの定番選択肢です。
4. 中程度の焙煎度合
ミディアムロースト
- 味わい
- 均整の取れた中茶色。香りが良く、まろやかな苦味が加わったいちばん選ばれているロースト。酸味と苦味のバランスが取りやすく、迷ったらここから。
- こんな一杯
- ドリップ、サイフォン、ネル、プレス。ギフトや「とりあえず美味しい一杯」にも。
- こんな方に
- 迷ったらミディアム。銘柄の個性を知る基準点として使い、同じ豆を浅く・深く変えて比べるのもおすすめです。ローストお試しセットなら4段階を一度に試せます。
5. 中程度の焙煎度合
ハイロースト
- 味わい
- ミディアムよりやや深い色。酸味と苦味の中庸がよく出た、バランスの良い焙煎度。甘みやコクが増し、日常使いに適した味わいです。
- こんな一杯
- ドリップ全般、サイフォン、ネル。ミディアムで物足りない方の次の一歩として選ばれやすい。
- こんな方に
- 「定番よりひとつしっかり」が好みならハイ。中程度の焙煎度合の範囲で、もう少しコクが欲しいときに。
6. 中深い焙煎度合
シティロースト
- 味わい
- やや深い茶褐色。酸味は苦味に負け始め、コクとボディがしっかり。表面にごく薄い油分が見えることも。
- こんな一杯
- ドリップ、サイフォン、ネル。温かい一杯で「しっかりコーヒーらしい味」を求める方に。
- こんな方に
- ハイで物足りない、もう一段コクが欲しい——そのときの次の一歩。牛乳を添えるより、ブラックや少量のミルク向き。
7. 中深〜深い焙煎度合
フルシティロースト
- 味わい
- 深い茶色〜ダークブラウン。酸味の影響は小さく、苦味とコクがピーク付近。やわらかい油の光沢が出始めます。
- こんな一杯
- ドリップ、ネル、サイフォン。深い焙煎度合好きの方の日常使い。カフェオレのベースにも。
- こんな方に
- 「深いけど、焦げた感じは避けたい」ならフルシティ。フレンチよりマイルドに深い味わいを楽しめます。
8. 深い焙煎度合
フレンチロースト
- 味わい
- ダークブラウン〜黒に近い色。表面に油分が現れ、煙香・焦香・重い苦みとコクが主体。焙煎由来の香りが前面に出やすい一方、銘柄や産地の違いも味わえます。
- こんな一杯
- エスプレッソ、マキアート、カフェラテのベース。サイフォンで濃厚な一杯。ミルクコーヒーとの相性も良い。
- こんな方に
- 「はっきり苦く、コクがある一杯」が好みなら。エスプレッソマシンをお持ちの方は、まずフレンチから試すのがおすすめです。一般的なエスプレッソに想像しやすい、しっかりした苦みと焙煎香が出やすいからです。
9. 最深い焙煎度合
イタリアンロースト
- 味わい
- 黒褐色で表面が油でテカる。最も深い焙煎。強い苦み・スモーキーさ・低い酸味。氷で薄まっても輪郭が残りやすい。
- こんな一杯
- アイスコーヒー、エスプレッソ、カフェオレ。暑い季節の「しっかりコーヒー感」を残したいとき。
- こんな方に
- フレンチでも物足りない、またはアイス専用豆を探している方に。浅い焙煎度合が苦手な方の「安心の深い焙煎度合」としても人気です。
あなたに合うのは、どのロースト?
このページでいちばんお伝えしたいのは、ここ。「好きな飲み方・気分」から、ぴったりの焙煎度合を探す出発点です。気になったら隣の焙煎度合も、気軽に試してみてください。
すっきり・華やかが好き
産地の個性や酸味を楽しみたい。食後や暑い日も、軽やかに飲みたい。
→ ライト 〜 シナモン
毎日、バランスよく
酸味も苦味も極端すぎず。家族や来客にも出しやすい、定番の味。
→ ミディアム 〜 ハイ
コクと苦味で満足
ブラックでもしっかり。ミルクを足しても、コーヒー感を残したい。
→ シティ 〜 フルシティ
エスプレッソ・アイス派
短時間抽出や氷で薄まっても、はっきりしたコクと苦みが欲しい。
→ フレンチ 〜 イタリアン
迷ったら、4ロースト飲み比べ
「どのローストが好みか、いきなり決められない」——そんな方に。ローストお試しセットなら、選んだ1銘柄をミディアム・ハイ・シティ・フルシティの4ロースト(各100g)でお届け。6銘柄から選べ、ローストごとの説明も同梱。コンパクトにまとめてお届けします。
選ぶ前に、6つだけ確認
- 普段の淹れ方 … ドリップなら中煎り前後、エスプレッソならフルシティ以深、水出しならライト〜ミディアムが選びやすいことが多いです。
- 酸味と苦味 … 浅いほど酸味、深いほど苦味・コク。ミルクを足すなら中深煎り以上が合いやすい傾向も。
- 銘柄の個性 … シングルオリジンは浅〜中で個性が出やすく、ブレンドは中〜深でバランスが整いやすいです。
- 季節・シーン … 暑い日は浅め・中め、寒い日や食後は深め——そんな選び方も。
- 抽出との相性 … 深煎りは同条件でも濃くなりやすい。浅煎りは挽き・湯温・時間で整えると、安定しやすいです。
- それでも迷ったら … まずはミディアムから。1銘柄を選び、同じ豆で浅め・深めへ少しずつ寄せていくと、好みは自然と見えてきます。
注文のときの目安 — 焙煎後のグラム数
珈琲問屋の豆はご注文後に焙煎。生豆のグラム数でご注文いただくため、焙煎後はローストが深いほど少し軽くなります。おおむね次の目安です。
| 生豆時 | ライト | シナモン | ミディアム | ハイ | シティ | フルシティ | フレンチ | イタリアン |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 100g | 約87g | 約86g | 約85g | 約84g | 約83g | 約82g | 約81g | 約76g |
| 200g | 約174g | 約172g | 約170g | 約168g | 約166g | 約164g | 約162g | 約152g |
| 300g | 約261g | 約258g | 約255g | 約252g | 約249g | 約246g | 約243g | 約228g |
| 400g | 約348g | 約344g | 約340g | 約336g | 約332g | 約328g | 約324g | 約304g |
| 500g | 約435g | 約430g | 約425g | 約420g | 約415g | 約410g | 約405g | 約380g |
※上記は目安であり、銘柄・気候により誤差があります。詳しくは商品FAQ(焙煎後のグラム数)をご覧ください。
もう少し知りたい方へ — 豆の中で起きていること
「浅いほど酸っぱく、深いほど苦い」——その差は、色だけではありません。豆の中身が変わっていくから。ここから先は、くわしく知りたい方向けの豆知識です。
※ここで触れるハゼ(はじける音)や温度は、焙煎の世界で一般的に使われる目安で、ご自身で焙煎するときの参考になります。
焙煎の流れ — 5つのステージ
@ 乾燥期
生豆に含まれる水分(生豆重量比でおおむね10〜12%)が蒸発し始める段階です。草っぽい香りが弱まり、豆は黄緑〜黄色っぽく変わります。ライト〜シナモンの手前に当たるイメージです。
A メイラード期
150℃前後から、メイラード反応(アミノ酸と糖が結びつく反応)が本格化。ナッツやトーストのような香りのもとが増え、豆は茶色へ。シナモン〜ミディアム付近で香りが豊かになります。
B 1ハゼ
豆内部の水蒸気とガスで細胞がはじけ、パチパチと音がします(内部温度の目安は190〜195℃前後)。構造が多孔質になり、抽出しやすさが一気に上がる転換点です。ライト〜ハイの境目として使われることが多いです。
C 仕上げ段階
1ハゼのあと、焙煎を止めるまでの仕上げの時間です(焙煎の現場では「デベロップメント」とも呼ばれます)。豆がパチパチと音を立てたあとも、まだ火は止められません。ここで酸味・甘み・苦み・コクのバランスが決まります。早く止めれば酸味と香りが残りやすく、長く続ければ苦みとコクが強まります。ミディアム〜フルシティといった焙煎度合の違いも、一般的にはこの「仕上げの長さ」の差で説明されます。
D 2ハゼ以降
再びはじける音(2ハゼ)。炭化・ピロリシス(高温分解)が進み、煙香・焦香・油分(オイル)が表面に出やすくなります。フレンチ〜イタリアン。焙煎由来の香りが前面に出やすくなりますが、銘柄や産地の違いも残ります。
味・香り・抽出 — 3つのキモ
酸味はどこから?
コーヒーの「酸っぱさ」は、クロロゲン酸をはじめとする有機酸がもとです。焙煎が進むと分解・変化し、クエン酸やリンゴ酸に近い「明るい酸」から、別の化合物へと移り変わります。浅煎りは有機酸が多く残り、果実系の酸味がキレよく感じられます。深煎りは分解が進み酸味自体も弱まり、苦味・コクの中に溶け込みやすくなります。同じ「酸っぱさ」でも、浅いと果実系、深いと苦みに近い印象になることも。
香りはどこから?
メイラード反応やストレッカー分解で、数百種類の香り成分が生まれます。浅〜中煎りは花・果実・ナッツ系、深煎りはチョコ・キャラメル・スモーク系。だから同じ銘柄でも、ローストで別物になるのです。
抽出はどう変わる?
1ハゼ以降、豆は内部がスポンジ状に。深煎りほど可溶物が出やすく、同じ挽き・湯温でも濃く・苦くなりやすい傾向があります。浅煎りは挽き・湯温でバランスを整えることが多い、というイメージです。
もっと踏み込む — マニアックな焙煎の話
吸熱から発熱へ
焙煎の前半、豆は熱を奪われる側(吸熱)です。水分が抜け、内部の反応が進むと、1ハゼ前後からは反応そのものが熱を出す局面が目立ち始めるといわれます。ここで火を緩めないと一気に進み、煎りムラや焦げに。焙煎が「止めどき勝負」になる理由のひとつです。
カフェインは減らない
よくある誤解。カフェインは熱に強く、焙煎ではほとんど分解しません。むしろ深煎りは水分やかさが減るぶん、同じ重さなら浅煎りより気持ち多く含むことも。「深煎り=カフェイン少なめ」は思い込みで、実際の一杯の量は抽出しだいです。
酸の正体
明るい酸はクエン酸・リンゴ酸(果実系)。焙煎が進むとクロロゲン酸が分解し、キナ酸やカフェ酸が増えて、収れん感のある苦い酸へ。酢酸やギ酸は中盤で一度増え、行き過ぎると刺激的に。「浅い=爽やか、深い=重い」の裏には、こんな酸の入れ替わりがあります。
香りの設計図
香りは数百種類の合わせ技。香ばしさはピラジン類、カラメル様はフラン類、スモーキー・スパイシーはグアヤコールなどのフェノール類、バター様はジアセチル。焙煎度で主役が入れ替わるから、同じ豆でも表情が変わります。
軽くなるのに膨らむ
焙煎で重さは減る(水分の蒸発+有機物の分解でガスが抜ける)のに、体積はふくらみます。内部にCO₂などのガスがたまり、細胞がスポンジ状になるから。深煎りほど「軽くて大きい」。挽くと一気にガスが抜け、ドリップの“蒸らし”のふくらみにもつながります。
焙煎機で変わる
熱の伝わり方は、熱風(対流)・ドラム接触(伝導)・輻射の組み合わせ。直火・半熱風・熱風など機種で配分が違い、同じ「シティ」でも風味の出方が変わります。同じ呼び名のローストが、お店ごとに少しずつ違ってくる理由でもあります。
用語ミニ辞典
- 1ハゼ / 2ハゼ
- 焙煎中に豆がはじける音。1ハゼは構造が開き始める合図、2ハゼは深い焙煎度合域に入った目安(銘柄・機械でタイミングは異なります)。
- 仕上げ段階
- 1ハゼのあとから焙煎を止めるまでの区間。短めに止めると酸味・香りが残りやすく、長く続けると苦み・コクが強まる。別名:デベロップメント。
- メイラード反応
- アミノ酸と還元糖が反応して褐色化・香り成分を生む現象。パンや肉の焼き色と同系統の化学です。
- メラノイジン
- 焙煎で生じる褐色の高分子。コク・ボディ感(のどごし)に関わると考えられ、中深い焙煎度合以降で増えやすい。
- ピロリシス
- 高温での分解。深い焙煎度合の煙香・焦香のもと。走りすぎると雑味やえぐみにつながります。
- CO₂(炭酸ガス)
- 焙煎直後は豆内部に多量に含まれ、時間とともに抜けます。浅い焙煎度合ほどガス抜けに時間がかかることも。抽出前の「休ませ」はこのためです。
- ピラジン類
- メイラード反応で生まれる香り成分。ナッツ・香ばしさ・ロースト感のもとで、中煎り以降に増えやすい。
- フラン類
- カラメル様の甘い香ばしさに関わる成分群。糖の熱分解(カラメル化)とともに増える。
- グアヤコール / フェノール類
- スモーキー・スパイシー・薬品様の香り。深い焙煎度合で存在感が増す。
- ジアセチル
- バター・ミルク様の香り成分。甘い印象やまろやかさに関わるといわれる。
- キナ酸 / カフェ酸
- クロロゲン酸の分解で増える酸。深い焙煎度合の収れん感(口がきゅっとする感じ)や、苦みに近い酸に関与。
焙煎度ごとに、豆の中で起きていること
焙煎が進むと、豆の中ではこんな変化が起きています。各ローストの「豆の中身」を、ここに1枚でまとめました。
| ロースト | はじけの目安 | 豆の中で起きていること(成分・構造) | 抽出・淹れ方のヒント |
|---|---|---|---|
| 生豆 | — | 水分10〜12%・硬い細胞壁。クロロゲン酸など有機酸はそのままで、香り成分は未発達 | 焙煎前。低温長時間で均一に |
| ライト | 1ハゼ前後 | 有機酸・揮発性芳香成分が豊富。メイラードは浅く、細胞はまだ硬め | 細挽き・高めの湯温で青さを抑えることも |
| シナモン | 1ハゼ付近 | メイラードが本格化しトースト香。酸は明確だが、ライトより角が取れる | ライトより抽出をやや深めにしやすい |
| ミディアム | 1ハゼ後 | 酸・糖のバランス帯。メラノイジンが増え始め、産地差も読み取りやすい | 最も「標準的」な抽出レンジ |
| ハイ | 1ハゼ後 | 有機酸の分解とキャラメル化が進行。酸苦の中庸 | 日常ドリップの基準点として比較向き |
| シティ | 1ハゼ後・長め | メラノイジン増でボディ・苦み↑。産地固有の酸は苦味に飲み込まれ始める | やや粗めでもコクが出やすい |
| フルシティ | 2ハゼ手前 | 内部は多孔質で表面に油分。可溶物が出やすく濃度が上がりやすい | 短い抽出でも濃くなりやすい |
| フレンチ | 2ハゼ以降 | ピロリシスで煙香・焦香が強まり、焙煎化合物が風味の主役 | エスプレッソ・短時間抽出向き |
| イタリアン | 2ハゼ深部 | 高度に多孔質+表面油。有機酸は最小、炭化系の香りが最大 | アイス・ミルクでも輪郭が残る |
※温度・時間・はじけ(ハゼ)は焙煎機・銘柄・環境で変わります。上表は「なぜ味が変わるか」を読み解くための参考で、ご自身で焙煎するときの目安にもどうぞ。珈琲問屋ではこれらの数値ではなく当社独自の焙煎度合の基準で仕上げています。
焙煎カーブの裏側 — RoR・DTR・ターニングポイント
焙煎を「曲線」で読むときの、ちょっとマニアックな世界です。ご自身で焙煎するときの参考に。下の図は、豆の温度(実線)と、その“勢い”を表すRoR(破線・右軸)を重ね、乾燥 → メイラード → 発達(DTR)の流れも色分けした模式図です。
- ターニングポイント(TP)
- 冷たい生豆を投入すると測定温度が一度下がり、最低点から上昇へ転じる点。だいたい投入から1〜2分。投入量や火力で高さ・タイミングが動き、その後のカーブの“出発点”になります。
- 豆温度(BT)と ET
- 豆そのものの温度がBT(Bean Temp)、釜内の空気の温度がET(Environment Temp)。実際の焙煎では2本を見比べますが、図ではBT1本に簡略化しています。
- RoR(昇温率)
- 1分あたり何℃上がるかという「勢い」。ふつうは投入直後が最大で、進むほどなだらかに低下します。理想は“なめらかに下がり続ける”形といわれます。
- クラッシュ/フリック
- RoRが終盤で急に落ち込むのがクラッシュ(味がぼやけやすい)、逆に跳ね上がるのがフリック(トゲ・刺激が出やすい)。1ハゼ前後で起きやすい乱れです。
- DTR(デベロップ率)
- 1ハゼから煎り止めまでの時間 ÷ 総焙煎時間。おおむね15〜25%前後で語られ、短すぎると青臭く(未発達)、長すぎると“ベイクド”(平坦で焼き菓子っぽく、くすんだ印象)になりやすい。図の発達ゾーンがこの“分子”にあたります。
- 発達(デベロップ)
- 1ハゼ以降の“仕上げ”区間。短く切れば香り・酸が、長くとれば甘み・コク・苦みが出やすい方向に。同じ焙煎度合の呼び名でも、ここの取り方で表情が変わります。
※ここは「正解の数値」を暗記する話ではなく、同じ味を“もう一度作れる”ようにするための見取り図です。最適値は焙煎機・量・豆で変わり、珈琲問屋でもこの数値を基準にしているわけではありません。



