15世紀から17世紀にかけて、モカ港は世界のコーヒー貿易の中心地として栄えました。当時、エチオピアやイエメンで栽培されたコーヒー豆は、すべてこの港から世界各地へ輸出されていたのです。ヨーロッパの貴族たちが愛飲したコーヒーも、アラビアの商人たちが運んだコーヒーも、その多くがモカ港を経由していました。
このため、これらの地域で生産されたコーヒー豆は総称して「モカ」と呼ばれるようになりました。モカ港は紅海に面した重要な貿易港として、数世紀にわたってコーヒー貿易の中心地として機能していました。当時の商人たちは、この港で取引されるコーヒー豆の品質の高さに驚嘆し、やがて「モカ」という名前自体が高品質なコーヒーの代名詞となっていったのです。
現在でも、イエメンやエチオピアで生産されるコーヒー豆は「モカ」として親しまれています。これは単なる慣習ではなく、その地域のコーヒーが持つ独特の風味特性を表現する言葉として、世界中のコーヒー愛好家に愛され続けているのです。